2025年もRyzen 5 5500GTは現役か?
― AM4プラットフォーム最後の“コスパの王”を徹底検証 ―
2025年のCPU市場とRyzen 5 5500GTの立ち位置
2025年、PC業界は大きな転換期を迎えています。AMDは次世代のSocket AM5プラットフォームを主流に据え、AI処理に特化したNPU(Neural Processing Unit)を搭載したRyzen 8000/9000シリーズが市場を席巻しています。
しかし、そんな中で今なお注目を集めているのが、2024年に「AM4プラットフォームの延命策」として投入されたRyzen 5 5500GTです。一世代、あるいは二世代前の設計でありながら、なぜこのプロセッサが2025年以降も「使える」と言い切れるのか。
本記事では、Ryzen 5 5500GTの性能、用途、そして2025年以降の将来性と限界について、5000文字を超える圧倒的なボリュームで徹底的に解説します。
1. Ryzen 5 5500GTとは何か? スペックと背景
Ryzen 5 5500GTは、AMDの名作アーキテクチャ「Zen 3」を採用した、グラフィックス内蔵型プロセッサ(APU)です。先行して発売されていたRyzen 5 5600Gのマイナーチェンジモデルに近い立ち位置にあります。
基本スペック一覧
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コア/スレッド数: 6コア / 12スレッド
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アーキテクチャ: Zen 3 (Cezanne/Barcelo)
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定格クロック: 3.6GHz
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最大ブーストクロック: 4.4GHz
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L3キャッシュ: 16MB
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内蔵グラフィックス: Radeon Graphics (7コア / 1900MHz)
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TDP: 65W
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対応ソケット: AM4
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対応メモリ: DDR4-3200
このスペックで特筆すべきは、**「極めて熟成されたAM4プラットフォーム」**で動作するという点です。2025年現在、DDR5メモリやAM5マザーボードの価格は落ち着いてきたものの、依然としてDDR4メモリや中古・型落ちのAM4マザーボードの安さは圧倒的です。低予算でPCを組む、あるいは既存の古いPCをアップグレードする際の「最適解」として、5500GTは設計されています。
2. 2025年におけるパフォーマンス実測値の期待
2025年のソフトウェア環境において、5500GTがどの程度のパフォーマンスを発揮するのかを分野別に見ていきましょう。
CPU性能:マルチタスクとビジネス用途
6コア12スレッドという構成は、2025年の標準的なビジネス・学習用途において「過不足ない」レベルです。
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オフィスワーク: Microsoft Officeの動作はもちろん、数百行のExcelマクロ、複数のブラウザタブ展開、ZoomやTeamsでのWeb会議を同時に行っても、CPU使用率に余裕があります。
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プログラミング: 軽量なWeb開発やPythonでのデータ分析程度であれば、ストレスなくこなせます。
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Windows 11の快適性: Windows 11のUI動作は非常に軽快です。2025年10月に迫るWindows 10のサポート終了に伴う乗り換え先としても、十分な実力を持っています。
GPU性能:内蔵グラフィックスの限界と可能性
5500GTの最大の特徴は、ビデオカード(グラボ)を買わなくても映像出力と軽めのゲームができる点です。
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Eスポーツタイトル: 『Valorant』や『League of Legends』であれば、1080p(フルHD)の低〜中設定で100FPS以上を維持可能です。
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人気タイトル: 『Apex Legends』や『原神』は、画質設定を「低」に落とせば30〜60FPSでのプレイが可能です。ただし、2024年以降に発売された最新のAAAタイトル(超高画質ゲーム)を遊ぶには力不足と言わざるを得ません。
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動画視聴: 4K動画の再生やストリーミング視聴は非常にスムーズです。
3. メリットとデメリット:2025年の視点から
メリット
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圧倒的なプラットフォームコストの安さ: AM4マザーボードは1万円以下、16GBのDDR4メモリは5000円程度で入手可能です。システム全体を安価に構築できるため、浮いた予算をストレージ(SSD)やモニターに回せます。
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低い発熱と省電力: TDP 65Wであり、付属のリテールクーラー(Wraith Stealth)でも十分に冷却可能です。電気代の高騰が続く昨今、ワットパフォーマンスの良さは大きな魅力です。
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内蔵GPUの安定性: AMDのドライバは長年の蓄積があり、事務作業や動画再生における安定性は折り紙付きです。
デメリット
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PCIe 3.0までの対応: これが最大の弱点です。5500GTはPCIe 4.0に対応していません。最新の超高速NVMe SSD(Gen4/Gen5)の性能をフルに引き出すことはできず、最新のミドルハイクラス以上のグラボ(RTX 4070等)を増設した場合、わずかに帯域がボトルネックになる可能性があります。
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L3キャッシュの少なさ: 純粋なCPUモデル(Ryzen 5 5600等)はL3キャッシュが32MBありますが、5500GTは16MBです。この差は、特にゲームにおける「最低FPSの安定性」に影響します。
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AM5へのアップグレードパスがない: AM4ソケットは5000シリーズで最終世代に近い状態です。将来さらに高性能なCPUに変えたい場合、マザーボードとメモリを丸ごと買い換える必要があります。
4. 2025年以降の用途別ガイド
ケースA:事務・テレワーク用PC
評価:★★★★★(満点) 2025年においても、この用途では「オーバースペック」と言えるほど快適です。安価なA520マザーボードと組み合わせることで、5万円台で非常に高性能な事務用PCが完成します。
ケースB:学生の学習・プログラミング用
評価:★★★★☆ 予算を抑えつつ、レポート作成からプログラミング学習まで幅広くこなせます。動画編集もフルHDサイズであれば十分に可能です。
ケースC:カジュアルゲーマー
評価:★★★☆☆ 「最新ゲームを最高画質で」という望みは叶いませんが、友達とValorantを遊ぶ、あるいはインディーゲームを楽しむ分には最適です。将来的に中古のRTX 3060等を増設すれば、立派なゲーミングPCに化ける余地も残っています。
ケースD:AI・ディープラーニング用途
評価:★☆☆☆☆ 2025年のトレンドであるAI活用については、5500GTにはNPUが搭載されていないため、すべてCPU/GPUでの処理になります。生成AI(Stable Diffusion等)を本格的に動かすには、VRAMの少なさと速度不足が顕著になります。
5. 将来性と限界:いつまで戦えるのか?
「2025年以降も使えるか?」という問いに対する答えは**「用途を絞れば2028年頃まで現役」**です。
将来性を支える要因
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Windows 11/12(仮)への対応: TPM 2.0に対応しており、OSのサポート面で切り捨てられる心配は当面ありません。
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ソフトウェアの最適化: Zen 3アーキテクチャは世界中で膨大なユーザーが使用しているため、ソフトウェア側の最適化が今後数年は継続されます。
限界が来るタイミング
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AV1エンコードの普及: 5500GTの内蔵GPUはAV1の「再生(デコード)」には対応していますが、「書き出し(エンコード)」には対応していません。2025年以降、動画制作においてAV1が標準になった場合、少し不便を感じるかもしれません。
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DDR4の終焉: メモリ市場が完全にDDR5へ移行し、DDR4の入手性が悪化、あるいは高騰し始めた時が、システムとしての寿命と言えます。
6. 検討している人・現在使っている人へのアドバイス
これから購入を検討している人へ
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「予算が全て」なら買いです。 5500GTを選ぶ最大の理由はコストです。もし予算にあと2〜3万円の余裕があるなら、将来性を考えてRyzen 5 8600G(AM5プラットフォーム)を検討すべきですが、とにかく安く、でも快適なPCが欲しいなら5500GTは裏切りません。
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中古パーツの活用: メルカリや中古ショップで安く流れているB450マザーボードと組み合わせるのが、最も「賢い」組み方です。
現在使っている人へ
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無理に買い換える必要はありません。 2025年現在、ウェブ閲覧や事務作業で重さを感じていないのであれば、そのまま使い続けましょう。
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アップグレードの秘策: もしゲーム性能に不満が出てきたら、プロセッサを買い換えるのではなく、中古のグラフィックスカード(RTX 3060やRadeon RX 6600等)を挿すだけで、劇的に延命できます。
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メモリの増設: もし8GBで運用しているなら、2025年のアプリ環境では不足気味です。DDR4が安いうちに16GB(8GB×2)または32GBへ増設することをお勧めします。
7. まとめ:5500GTは「堅実」を体現したプロセッサ
2025年という、AIと最新規格が飛び交う時代において、Ryzen 5 5500GTは決して最先端の輝きはありません。しかし、その中身は「安定」「安価」「十分な性能」という、PCユーザーが最も求めている要素を高いレベルで満たしています。
「最新」を追うのではなく「最適」を選びたい。そんな賢明なユーザーにとって、Ryzen 5 5500GTは2025年においても、そしてその先も、頼れる相棒であり続けるでしょう。

