2025年、GTX 1070 Tiはまだ戦えるのか? 徹底検証!
今回は、NVIDIAが2017年にリリースした名GPU「GeForce GTX 1070 Ti」に焦点を当ててみたいと思います。発売から約8年が経過する2025年現在、このGPUは果たして「現役」として通用するのでしょうか?
「そろそろ新しいグラボに買い替えようかな…でも、まだ1070 Tiでいけるんじゃないか?」 「中古で1070 Tiを見かけたけど、今から買っても大丈夫?」
そんな疑問をお持ちの方のために、GTX 1070 Tiの性能を徹底的に掘り下げ、最新GPUとの比較、できること・できないこと、そしてもし今からPCを組むならどんなパーツが良いのかまで、詳しく解説していきます。さらに、実際にGTX 1070 Tiを使い続けているユーザーの声も交えながら、その真価に迫ります。
1. GTX 1070 Ti、その輝かしい過去と現在の立ち位置
GTX 1070 Tiは、Pascalアーキテクチャを採用した高性能GPUとして、発売当時多くのゲーマーから絶賛されました。GTX 1070とGTX 1080の間に位置づけられ、非常にコストパフォーマンスに優れたモデルとして人気を博しました。
当時のVR元年とも言える時期に、VRゲームも快適にプレイできる性能を持っていたことも、その人気を後押ししました。しかし、時は流れ、グラフィック技術は日進月歩で進化しています。レイトレーシングやDLSSといった新技術の登場により、GPUに求められる性能も大きく変化しました。
果たして、GTX 1070 Tiは2025年の過酷なゲーム環境に耐えうるのでしょうか?
2. GTX 1070 Tiの性能を再評価:今、何ができるのか?
まずはGTX 1070 Tiの基本的なスペックをおさらいしましょう。
- CUDAコア数: 2432基
- ベースクロック: 1607 MHz
- ブーストクロック: 1683 MHz
- メモリ: GDDR5 8GB
- メモリインターフェース: 256-bit
- TDP: 180W
これらのスペックを基に、2025年現在でGTX 1070 Tiがどの程度のことができるのかを見ていきます。
ゲーミング性能:設定次第でまだまだ楽しめる!
結論から言うと、設定次第では多くのゲームを快適にプレイ可能です。
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eスポーツタイトル(Apex Legends, VALORANT, Fortnite, CS2など): これらのタイトルであれば、フルHD(1920×1080)解像度で高リフレッシュレート(144Hz以上)を維持することも十分可能です。競技性を重視するプレイヤーであれば、描画設定を中~低にすることで、安定したフレームレートを確保できるでしょう。
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AAAタイトル(サイバーパンク2077, Starfield, Alan Wake 2など): これらの最新のAAAタイトルでは、フルHD解像度でも最高設定でのプレイは厳しいと言わざるを得ません。中~低設定にすることで、概ね30~60fps程度のプレイが可能になるでしょう。特に、レイトレーシングを使用するゲームでは、GTX 1070 Tiではまともに動作させることは困難です。これは、GTX 1070 Tiがレイトレーシング専用のRTコアを搭載していないためです。
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旧作タイトル: 数年前のAAAタイトルやインディーズゲームであれば、高設定~最高設定でも快適にプレイできるものがほとんどです。Steamなどでセールになっている名作をじっくり楽しむには、まだまだ十分な性能と言えます。
クリエイティブ作業:軽作業ならOK、重作業は厳しい
動画編集や3Dレンダリングなどのクリエイティブ作業においては、その性能は限定的です。
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動画編集(4K編集は厳しい): フルHD程度の動画編集であれば、軽作業であれば可能です。しかし、4K動画の編集や、DaVinci ResolveのようなGPUパワーを要求するソフトウェアでは、処理に時間がかかり、快適とは言えません。
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3Dモデリング・レンダリング: 簡単なモデリングであれば可能ですが、複雑なシーンのレンダリングや、リアルタイムレンダリングを多用する作業では、明らかに力不足を感じるでしょう。特に、VRAMが8GBというのは、現代の複雑な3Dモデルやテクスチャを扱うにはやや心許ない量です。
その他(AI、機械学習など):ほぼ不可能
最近注目されているAI関連の作業(画像生成AI、機械学習の学習など)においては、GTX 1070 Tiはほとんど力を発揮できません。これらのタスクは、Tensorコアや大量のVRAMを必要とするため、専用のハードウェアを持たないGTX 1070 Tiでは事実上不可能です。
3. 最新GPUとの比較:埋められない世代間の溝
GTX 1070 Tiの性能をより具体的に理解するために、現行の代表的なGPUと比較してみましょう。
特に、DLSS(Deep Learning Super Sampling)は、AIの力で低解像度でレンダリングした映像を高解像度に出力することで、フレームレートを大幅に向上させる技術です。GTX 1070 Tiにはこの技術が搭載されていないため、最新ゲームでフレームレートを稼ぐ手段が限られてしまいます。
レイトレーシングに至っては、そもそも対応するハードウェアがないため、ゲーム内でONにすることすらできません。これにより、最新ゲームの美しい光源処理や影の表現を体験することは不可能です。
4. GTX 1070 TiでPCを組むなら?相性の良いパーツ構成
もし今、手元にGTX 1070 Tiがあり、これを活かしてPCを組む、あるいはアップグレードを考えているのであれば、以下のポイントを参考にパーツを選んでみましょう。
CPU:ボトルネックを避けるためにRyzen 5000番台 or Core i5 10~11世代が妥当
GTX 1070 Tiの性能を最大限引き出すためには、CPUがボトルネックにならないように選ぶ必要があります。かと言って、最新のハイエンドCPUを選ぶのはオーバースペックです。
- AMDの場合: Ryzen 5 5600X や Ryzen 7 5700X あたりが非常に相性が良いでしょう。Zen 3アーキテクチャはシングルコア性能も高く、ゲームにおけるパフォーマンスも良好です。
- Intelの場合: Core i5-10400F や Core i5-11400F といった第10世代・第11世代のCore i5であれば、コストを抑えつつ十分な性能を発揮できます。
最新のRyzen 7000番台やCore i5 13世代以降ももちろん選択肢に入りますが、GTX 1070 Tiに対しては少々オーバースペック気味になる可能性があります。将来的なGPUアップグレードを見越すならありですが、GTX 1070 Tiを主軸に考えるなら上記で十分です。
マザーボード:チップセットはB550 / H510 / B560あたり
CPUに合わせて適切なチップセットのマザーボードを選びましょう。
- AMD(AM4ソケット): B550チップセットのマザーボードがコストと機能のバランスが取れています。
- Intel(LGA1200ソケット): H510やB560チップセットが適しています。
いずれもPCIe Gen3対応でGTX 1070 Tiとの相性も問題ありません。
メモリ:16GBが最低ライン、32GBあれば安心
ゲーミング用途であれば、DDR4 16GB(8GB x2枚)が最低ラインです。特に、最新のAAAタイトルや複数のアプリケーションを同時に起動する場合は、32GB(16GB x2枚)あるとより快適です。速度は3200MHz程度あれば十分でしょう。
ストレージ:M.2 NVMe SSDは必須
OSやゲームの起動速度、ロード時間を大幅に短縮できるため、M.2 NVMe SSDは必須です。システムドライブとして500GB~1TB、ゲーム用にさらに追加でSSDやHDDを用意すると良いでしょう。
電源ユニット:550W~650Wで十分
GTX 1070 TiのTDPは180Wと比較的低いため、高品質な550W~650W程度の電源ユニットがあれば十分です。将来的なアップグレードも視野に入れるなら、少し余裕を持たせて750Wあたりを選ぶのもアリです。電源はPCの安定動作の要なので、安価なものを選ばず、信頼性のあるメーカーの製品を選びましょう。
5. 将来性と今後の展望:いつまで「戦える」のか?
2025年現在、GTX 1070 Tiはまだ一部の用途で「戦える」性能を持っていることはご理解いただけたかと思います。しかし、その将来性は決して明るいとは言えません。
グラフィックAPIと新技術の進化
DirectX 12 UltimateやVulkanといった最新のグラフィックAPIは、レイトレーシングやメッシュシェーディングといった新技術に対応しています。GTX 1070 Tiはこれらの技術をハードウェアレベルでサポートしていないため、最新のゲームがこれらの技術を多用するようになるにつれて、GTX 1070 Tiのパフォーマンスはさらに厳しくなるでしょう。
ゲームの要求スペックの向上
ゲーム開発者は、より美しいグラフィックや複雑な物理演算を追求するため、常に最新のGPUの性能を最大限に引き出そうとします。これにより、ゲームの要求スペックは年々向上しており、GTX 1070 Tiでは対応しきれない場面が増えていくことは避けられません。
中古市場での価値
現在、GTX 1070 Tiは中古市場で比較的安価に入手できます。しかし、上記のような理由から、その価値は時間とともにさらに下落していくと予想されます。もし、今から中古でGTX 1070 Tiを購入し、数年間メインGPUとして使用することを考えているのであれば、その寿命は短いことを覚悟しておくべきでしょう。
個人的な見解としては、2025年がGTX 1070 Tiが「現役」としてある程度通用する最後の年になる可能性が高いと考えています。2026年以降は、最新のAAAタイトルを快適にプレイするのは非常に困難になるでしょう。
6. 実際にGTX 1070 Tiを使っているユーザーの声
「なんだかんだでまだ使ってますよ、GTX 1070 Ti!ApexとかValorantは全然余裕。でも、最近のゲームはさすがに設定落とさないと厳しいですね。特にサイバーパンクとかはもう…(笑)。そろそろ買い替えたいけど、円安とグラボ高騰で手が出せないのが現状です。」(20代 男性 ゲーマー)
「動画編集のサブ機で使ってます。軽めの編集なら問題ないけど、メイン機(RTX 4070搭載)と比べると処理速度が全然違いますね。特にエンコードは時間がかかります。でも、古いゲームを遊ぶ分には十分なので、完全に引退させるのはもったいないと思ってます。」(30代 男性 クリエイター)
「正直、もう限界です。新しいゲームが出るたびに設定を下げて、それでもカクカクする。DLSSの恩恵を一度味わってしまうと、もう戻れませんね。でも、初めて組んだPCに入ってたグラボだから、愛着はあります(笑)。」(10代 男性 ゲーマー)
これらの声からもわかるように、GTX 1070 Tiは依然として特定の用途では活躍の場があるものの、最新の要求には応えきれていないのが現状です。
7. まとめ:GTX 1070 Tiは「まだ戦える」、しかし「限界は近い」
2025年におけるGeForce GTX 1070 Tiは、以下の点で評価できます。
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良い点:
- eスポーツタイトルや数年前のAAAタイトル、インディーズゲームであればフルHDで十分快適にプレイ可能。
- 中古市場で比較的安価に入手できる可能性がある。
- 消費電力が比較的低い。
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悪い点:
- 最新のAAAタイトルでは設定をかなり落とす必要があり、快適なプレイは難しい。
- レイトレーシングやDLSSといった新技術に対応していないため、最新のグラフィック表現を楽しめない。
- VRAMが8GBと、現代のゲームやクリエイティブ作業では不足気味。
- AI関連のタスクには不向き。
- 将来的な拡張性や寿命が限られている。
結論として、GTX 1070 Tiは2025年現在、「まだ戦える」GPUではありますが、その活躍の場は限定的であり、「限界は近い」と言わざるを得ません。
もし、あなたがeスポーツタイトルを中心にプレイし、グラフィック設定にこだわりがなく、コストを抑えたいのであれば、GTX 1070 Tiはまだ選択肢の一つになり得ます。しかし、最新のAAAタイトルを最高設定でプレイしたい、レイトレーシングやDLSSの恩恵を受けたい、あるいは将来性も考慮に入れたいのであれば、間違いなく新しい世代のGPUへのアップグレードを検討すべき時期に来ています。
新しいGPUの購入は大きな投資ですが、それによって得られるゲーム体験の向上は計り知れません。あなたのゲーミングライフがより豊かになることを願っています!