~名機の現在地を徹底解説~
2016年に登場したNVIDIA GeForce GTX 1070は、当時としては破格の性能を持ち、多くのゲーマーやクリエイターの注目を集めました。それから約9年、2025年の現在においても中古市場で流通し、サブマシンや予算重視の構成で選ばれることの多いグラフィックボードです。
では、**GTX 1070は2025年の今でも現役で使えるのか?**この記事ではその問いに対し、スペックや実際のパフォーマンス、用途別の適性、将来性などあらゆる角度から詳しく解説します。
1. GTX 1070の基本スペックと特徴
まずは、GTX 1070の基本的なスペックを確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
アーキテクチャ | Pascal |
製造プロセス | 16nm FinFET |
CUDAコア数 | 1920 |
ベースクロック | 1506 MHz |
ブーストクロック | 1683 MHz |
メモリ容量 | 8GB GDDR5 |
メモリバス幅 | 256bit |
TDP | 150W |
発売年 | 2016年6月 |
GTX 1070は、上位モデルGTX 1080に次ぐハイエンドモデルとして登場しました。当時としては破格の性能と価格バランスで、ハイコストパフォーマンスGPUの代名詞とも言える存在でした。
2. GTX 1070の2025年における性能と使用感
2025年の最新ゲームやソフトウェアと比較すると、GTX 1070の性能はさすがに世代落ちしてきている感は否めません。とはいえ、フルHD(1080p)解像度でのゲームプレイや動画編集、配信などは依然として可能です。
ゲーム性能(2025年時点)
いくつかの代表的なタイトルでのベンチマーク(中〜高設定 / 1080p)を紹介します。
タイトル | 平均フレームレート(中設定) |
---|---|
Apex Legends | 約90fps |
Valorant | 約150fps以上 |
Fortnite | 約80〜100fps |
Cyberpunk 2077 | 約35〜45fps(低〜中設定) |
Elden Ring | 約45〜55fps |
Hogwarts Legacy | 約30〜40fps(低設定) |
軽量〜中程度のゲームであれば、十分なフレームレートを出せることがわかります。ただし、レイトレーシングや4K高解像度には対応が難しく、重めの最新AAAタイトルでは妥協が必要です。
3. GTX 1070の主な用途
では、2025年の今、GTX 1070はどのような用途に適しているのでしょうか。
ゲーム用途
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フルHDゲーミングに最適。多くのeスポーツタイトルやインディーゲーム、数年前のAAAタイトルまで対応可能。
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ただし、レイトレーシングには非対応で、DLSSにも対応していないため、最新技術を活かしたゲームにはやや不向き。
動画編集・クリエイティブ用途
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Adobe Premiere Pro や After Effects、DaVinci Resolve などのGPUアクセラレーション対応ソフトではまだまだ実用レベル。
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VRAMが8GBある点も大きく、4K素材のプレビュー編集程度なら可能。
ビジネス・日常使用
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WebブラウジングやOfficeソフト、YouTubeなどの動画再生では過剰性能。
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マルチモニター環境や、動画編集を含む軽いクリエイティブ作業にも対応可能。
4. 将来性と今後の課題
GTX 1070は2025年時点でも「使える」GPUですが、いくつかの将来的な課題や制限も存在します。
✅ メリット
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中古価格が安い(1万円前後)
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電力効率が良く、TDP150Wと扱いやすい
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VRAM8GBで、今でも容量的には問題なし
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多くのゲームやアプリで対応実績あり
❌ デメリット・将来的な不安
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ドライバーの更新頻度が落ちる可能性(※2025年6月時点ではまだサポート中)
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レイトレーシング非対応、DLSSも基本非対応
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最新ゲームの高設定では限界が見えている
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消費電力や発熱が最新GPUより劣る
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DirectX 12 Ultimateには未対応
特にドライバーサポートの終了がいつ来るかは非常に重要なポイントです。NVIDIAは過去に旧世代GPUのサポートを打ち切った前例があるため、2026〜2027年頃までが現実的なサポート限界と見られています。
5. どんな人におすすめ?
GTX 1070を2025年に選ぶべき人は、次のような層に当てはまります。
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ゲームは軽め〜中程度、フルHD解像度で十分な人
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コストを抑えた自作PCやサブマシンを構築したい人
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中古PCや古いBTOマシンをアップグレードしたい人
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動画編集や軽い3DCGなど、GPUアクセラレーションを活かす作業をしたい人
逆に、以下のような人にはおすすめできません。
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最新ゲームを最高設定で遊びたい人
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DLSSやレイトレーシングを活用したい人
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長期的な運用(3年以上)を前提としている人
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4KゲーミングやVRを本格的にやりたい人
6. GTX 1070に代わる選択肢(2025年)
もしGTX 1070が性能的に物足りない、または将来性に不安があるという場合、以下のようなGPUが代替候補になります。
モデル | 特徴 |
---|---|
RTX 3060(12GB) | 性能はGTX 1070の約1.5倍。DLSS/レイトレ対応でコスパ高。中古価格も落ち着きつつある。 |
RTX 2060 SUPER | GTX 1070の完全上位互換。価格と性能のバランスが良い。 |
RX 6600 | AMD製。フルHDに特化したモデルで消費電力も低い。コスパ優秀。 |
RTX 4060 | 新世代GPU。長期的運用に向くが価格は高め。DLSS 3にも対応。 |
以下は、GTX 1070と他の代表的なGPU(近年のエントリー〜ミドルレンジ)とのスペック比較表です。2025年時点でよく比較対象になるモデルを中心にピックアップしています。
GTX 1070 スペック比較表(2025年視点)
項目 | GTX 1070 | RTX 2060 SUPER | RTX 3060 | RX 6600 | RTX 4060 |
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発売年 | 2016年 | 2019年 | 2021年 | 2021年 | 2023年 |
アーキテクチャ | Pascal | Turing | Ampere | RDNA 2 | Ada Lovelace |
CUDAコア数 | 1920 | 2176 | 3584 | -(Stream 1792) | 3072 |
メモリ容量 | 8GB GDDR5 | 8GB GDDR6 | 12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリバス幅 | 256bit | 256bit | 192bit | 128bit | 128bit |
TDP | 150W | 175W | 170W | 132W | 115W |
レイトレーシング | × | ○ | ○ | ○ | ○(高効率) |
DLSS対応 | × | ○(DLSS 2) | ○(DLSS 2) | × | ○(DLSS 3) |
PCIe規格 | 3.0 | 3.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
1080pゲーミング性能 | ◎ | ◎ | ◎◎ | ◎ | ◎◎ |
中古相場(2025年) | 8,000~12,000円 | 約18,000円 | 約22,000円 | 約18,000円 | 約28,000円~ |
※中古価格は参考値(変動あり)。◎は快適、◎◎は非常に快適を意味します。
評価
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GTX 1070は依然としてVRAMや帯域幅の広さで健闘していますが、機能面(DLSS/レイトレーシング)の非対応が時代遅れになりつつあります。
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RTX 3060はコストパフォーマンスが高く、VRAM12GBという余裕が大きな魅力です。
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RX 6600はコストと消費電力のバランスに優れ、価格帯の割にゲーム性能も安定しています。
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RTX 4060は新しい世代で、DLSS 3対応・省電力・最新ドライバ保証という面で将来性が高いです。
以下に、GTX 1070を中心とした代表的なGPU(RTX 2060 SUPER、RTX 3060、RX 6600、RTX 4060)のフレームレート比較表を示します。すべて1080p(フルHD)解像度、中〜高設定での平均FPSを記載しています(2025年時点の最新版ドライバ前提)。
フレームレート比較表(1080p / 中〜高設定)
タイトル(設定) | GTX 1070 | RTX 2060 SUPER | RTX 3060 | RX 6600 | RTX 4060 |
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Apex Legends(高) | 約90fps | 約110fps | 約120fps | 約115fps | 約140fps |
Fortnite(エピック) | 約80fps | 約95fps | 約105fps | 約100fps | 約125fps |
Valorant(最高) | 約150fps | 約200fps | 約240fps | 約230fps | 260fps以上 |
Elden Ring(高) | 約50fps | 約60fps | 約70fps | 約65fps | 約80fps |
Cyberpunk 2077(中) | 約40fps | 約55fps | 約65fps | 約60fps | 約75fps |
Hogwarts Legacy(低〜中) | 約35fps | 約50fps | 約60fps | 約55fps | 約70fps |
Call of Duty: MW3(中) | 約55fps | 約70fps | 約85fps | 約80fps | 約100fps |
傾向とまとめ
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GTX 1070は軽量〜中程度のゲームではまだ戦える性能を持っていますが、最新ゲームでは中設定でも60fpsを下回る場面が増えます。
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RTX 2060 SUPERやRX 6600は、GTX 1070を安定的に10〜30%上回る性能。
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RTX 3060とRTX 4060はDLSSにより、実際の体感性能はさらに高い。特にRTX 4060はDLSS 3対応でフレーム生成により大幅な向上が見込めます。
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eスポーツタイトル(Valorant, Apexなど)ではどのGPUでも快適に動作。
まとめ:GTX 1070はまだ「使える」が「ギリギリ」ライン
GTX 1070は、2025年現在でもフルHDゲームや動画編集を中心とした作業にはまだ十分に使えるGPUです。しかし、最新タイトルの高設定や将来的なサポートを考えると、**「そろそろ買い替えを検討すべき時期」**に来ているのも事実です。
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予算重視で今すぐゲームや動画編集を始めたい人
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一時的なサブ用途で使いたい人
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自作PC入門として安価な中古GPUを探している人
こういった方々には、GTX 1070は2025年でも十分「現役」になりうる選択肢です。
ただし、3年〜5年先を見据えるなら、RTX世代(特にRTX 3060あたり)への移行をおすすめします。