「型落ち」ハイエンドの真価:Radeon RX 6900 XTは2025年以降も”買い”か?中古購入のメリットと限界
2020年12月、AMD RDNA 2アーキテクチャのフラッグシップとして鮮烈なデビューを飾った「Radeon RX 6900 XT」。NVIDIAのハイエンドモデルと真っ向から渡り合い、多くのPCゲーマーを熱狂させました。
あれから約5年。GPUの世界は、NVIDIAのRTX 40シリーズ(Ada Lovelace)、そしてAMD自身のRX 7000シリーズ(RDNA 3)が登場し、次世代機(RTX 50シリーズやRX 8000シリーズ)の噂も聞こえ始める2025年となりました。
「型落ち」とも言える世代になったRX 6900 XTは、果たして2025年以降も”使える”のでしょうか?
この記事では、RX 6900 XTの現在の性能、推奨される用途、メリットとデメリット、そしてその将来性と限界について、5000文字を超えるボリュームで徹底的に掘り下げます。
本記事の対象読者:
- 現在RX 6900 XTを所有しており、アップグレードすべきか悩んでいる方
- 中古市場でRX 6900 XTの購入を検討しており、現在の実力を知りたい方
- 最新のGPU事情と、過去のハイエンド機が現在どのような立ち位置にあるか興味がある方
🚀 セクション1: 2025年現在における RX 6900 XT の性能評価
まず、RX 6900 XTが2025年現在のAAAゲームやクリエイティブタスクにおいて、どの程度のパフォーマンスを発揮できるのかを解像度別に見ていきましょう。
1-1. VRAM 16GBという「最大の武器」
RX 6900 XTのスペックをおさらいすると、GDDR6 16GBという大容量VRAMが搭載されています。これが2025年現在、非常に大きな意味を持っています。
近年、『Starfield』『サイバーパンク2077 (ファントム・リバティ)』『Hogwarts Legacy』『The Last of Us Part I (PC版)』など、VRAM使用量が8GBや10GBを軽々と超えるゲームが増加傾向にあります。
- RTX 3080 (10GB) や RTX 4070 (12GB) といった、当時または現行のライバル機がVRAM容量で苦戦を強いられる中、RX 6900 XTの16GBは、高解像度テクスチャやMODの使用、4Kゲーミングにおいて圧倒的なアドバンテージとなります。
- VRAM不足は、フレームレートの深刻な低下(スタッター)や、テクスチャの読み込み遅延といった形で直接的にゲーム体験を損ないます。RX 6900 XTは、この「VRAMの壁」に対して、2025年現在でも強力な耐性を持っています。
1-2. 解像度別ゲーミング性能
1080p (フルHD)
結論:オーバースペック気味だが、最強。
- 2025年現在のいかなるAAAタイトルであっても、フルHD解像度であれば最高設定で全く問題ありません。
- 焦点は「いかに高いフレームレートを出すか」になります。240Hzや360Hzといった超高リフレッシュレートモニターを活かし、競技性の高いFPS(『Apex Legends』『VALORANT』など)をプレイするユーザーにとっては、今なお最強クラスの選択肢です。
- ただし、この解像度ではCPU性能がボトルネック(CPUバウンド)になりやすいため、Ryzen 7 5800X3DやRyzen 7000シリーズ、Intel Core 13世代以降など、強力なCPUと組み合わせることが前提となります。
1440p (WQHD)
結論:依然として「スイートスポット」。
- RX 6900 XTが最も輝く解像度と言えます。多くのゲームで高設定~最高設定を維持しつつ、144fps以上(高リフレッシュレートモニターの上限)を狙うことが可能です。
- VRAM 16GBの恩恵も受けやすく、フルHDからの画質向上とフレームレートを高いレベルで両立できます。
- 2025年においても、WQHD環境の「ハイエンドゲーミング体験」を十分に提供できる実力を持っています。
2160p (4K)
結論:設定次第で十分「快適」。
- 4K解像度になると、さすがのRX 6900 XTも最新のAAAタイトルでは最高設定(ウルトラ設定)で60fpsを安定して維持するのが難しくなってきます。
- しかし、これは「使えない」という意味ではありません。設定を「高」や「中」に最適化したり、AMDのアップスケーリング技術**「FSR (FidelityFX Super Resolution)」**を「品質」または「バランス」モードで活用したりすることで、4K 60fpsの快適なゲームプレイは十分に可能です。
- VRAM 16GBが最も活きる解像度でもあり、VRAM不足による破綻とは無縁です。
1-3. レイトレーシング (RT) 性能の現実
RX 6900 XT(RDNA 2)の弱点として指摘され続けてきたのが、レイトレーシング性能です。
- NVIDIAのRTX 30シリーズ(Ampere)と比較しても、RT処理能力は同等かやや劣るレベルです。
- RTX 40シリーズ(Ada)やRX 7000シリーズ(RDNA 3)の劇的に進化したRT性能と比較すると、その差は歴然です。
- 2025年現在、『サイバーパンク2077』のパストレーシング(オーバードライブモード)のような、RTを酷使する最新技術を快適に動かすことは不可能です。
結論として、RX 6900 XTでレイトレーシングを多用することは現実的ではありません。 FSRを併用して1080pや1440pで軽いRT(影やアンビエントオクルージョン程度)を楽しむことは可能ですが、RT性能を重視するならば、NVIDIA製GPUやRDNA 3以降のRadeonを選択すべきです。
1-4. クリエイティブ性能とAI
- 動画編集: VRAM 16GBは、DaVinci Resolveなどでの4K・8K編集において非常に強力です。エンコード支援機能も備えており、ハイアマチュアの動画編集用途には十分すぎる性能を持っています。
- AI / 機械学習: この分野はNVIDIA (CUDA) の独壇場です。RX 6900 XT (ROCm) でも動かすことは可能ですが、環境構築のハードルの高さや対応ソフトウェアの少なさから、ホビー用途の域を出ません。Stable Diffusionなども動かせますが、NVIDIA製GPUほどの快適さや速度は期待できません。
🎨 セクション2: 2025年以降の推奨用途
RX 6900 XTの性能評価を踏まえ、どのようなユーザーや用途に最適か(あるいは、もはや最適ではないか)を考察します。
👍 最適な用途 (Good Match)
- WQHD (1440p) 高リフレッシュレートゲーマー: 「レイトレーシングには興味がない。それよりも、ラスタライズ性能(従来の描画性能)を重視し、WQHD解像度で高フレームレートを維持したい」というユーザーにとって、中古で安価に入手できるなら最高の選択肢の一つです。
- 4K 60fps “最適化” ゲーマー: 最高設定に固執せず、FSRの活用や設定の最適化(高設定あたり)を厭わないユーザーであれば、4K 60fpsの快適なゲーミング環境を低コストで構築できます。
- VRAM爆食いゲーム愛好家 (Modユーザー): 『Skyrim』や『Fallout 4』に高解像度テクスチャModを大量導入するユーザーや、『Microsoft Flight Simulator』のヘビーユーザーなど、VRAMを12GB以上消費するような特殊な環境において、16GBのVRAMは絶対的な正義となります。
- ハイアマチュア動画クリエイター: 特にDaVinci Resolveユーザーで、4K以上の素材を扱う場合、VRAM 16GBの恩恵は計り知れません。
👎 推奨できない用途 (Bad Match)
- レイトレーシング / パストレーシング体験を重視するゲーマー: 前述の通り、RT性能は弱点です。最新の「映像美」を体験したい場合は、RTX 40シリーズ(特に4070 Ti SUPER以上)やRX 7900 XT/XTXを検討すべきです。
- AI(画像生成・機械学習)を本格的にやりたいユーザー: 迷わずNVIDIA (RTX 3060 12GB, 4060 Ti 16GB, 4070以上) を選んでください。
- 電力効率(ワットパフォーマンス)を最優先するユーザー: RDNA 2は電力効率が悪いわけではありませんが、ハイエンド機ゆえに相応の電力(TBP 300W)を消費します。最新のミドルクラスGPU(RTX 4060 TiやRX 7700 XTなど)と比較すると、絶対的な消費電力は大きくなります。
⚖️ セクション3: メリットとデメリット(2025年視点)
2025年という時点でRX 6900 XTを選ぶ(または使い続ける)ことの利点と欠点を、改めて整理します。
🟢 メリット
- 圧倒的なVRAM (16GB): これが最大の存在意義です。2025年以降、VRAM 8GBはWQHDでも不足し、12GBも限界が見え始めています。16GBという容量は、今後数年間のゲームにおいても「保険」として絶大な効果を発揮し続けます。
- (中古市場での)卓越したコストパフォーマンス: 発売から5年が経過し、中古市場やリファービッシュ品の価格は非常に「こなれて」います。(※価格は時期によりますが)数万円台で、かつて600ドル以上(国内価格は10万円超)したフラッグシップのラスタライズ性能とVRAM 16GBが手に入るのは、非常に魅力的です。
- FSR / AFMF (Fluid Motion Frames) による延命: AMDのアップスケーリング技術「FSR」は全GPUで利用可能ですが、RDNA 2はハードウェア的にも最適化されています。さらに、ドライバレベルで動作するフレーム生成技術「AFMF」にも対応しており、対応ゲーム以外でもフレームレートをブーストする「延命措置」が可能です。
- 未だ一線級のラスタライズ性能: RTをオフにすれば、WQHD環境においてRX 6900 XTは、現行のミドルハイGPU(RX 7800 XTやRTX 4070)と同等、あるいはそれ以上のパフォーマンスを発揮するゲームも少なくありません。
🔴 デメリット
- 決定的に不足するRT性能: 「RTを使わなければ良い」という割り切りが必要ですが、今後のゲームがRT(特にパストレーシング)を前提とした設計にシフトしていくと、この弱点はさらに際立つことになります。
- AI機能の欠如: NVIDIAのDLSS 3(フレーム生成)やDLSS 3.5(Ray Reconstruction)のような、AI(Tensor Core)を活用した先進的な画質・性能向上機能は利用できません。AFMFはありますが、DLSS 3のFGとは仕組みも品質も異なります。
- 中古・リファービッシュ品のリスク: 2025年現在、新品での入手は困難です。中古品は、保証が切れている、あるいは前の所有者(最悪の場合、マイニング事業者)によって酷使されているリスクを伴います。サーマルパッドの劣化やファンの異音など、経年劣化も考慮する必要があります。
- ドライバサポートの優先度低下: 発売から5年が経過したアーキテクチャです。AMDは比較的古い製品もサポートし続けますが、最新ゲームへの最適化や新機能の追加は、当然ながらRDNA 3や将来のRDNA 4が最優先となります。
- 消費電力の絶対値: TBP 300Wは、現代の基準では「やや大きい」部類に入ります。強力な電源ユニット(推奨750W~850W)が必要ですし、電気代や発熱の面でも最新のミドルGPUより不利になります。
🔮 セクション4: 将来性と限界
では、RX 6900 XTは具体的に「あと何年」戦えるのでしょうか。
VRAM 16GBの「貯金」が尽きるまで
RX 6900 XTの寿命は、**「VRAM 16GBの貯金」と「RT性能の限界」**の綱引きによって決まります。
筆者の見解では、「VRAM 16GBの貯金」の方が長持ちする可能性が高いです。
2026年~2027年にかけて登場するであろう次々世代コンソール(PS6世代)の普及までは、VRAM 16GBが決定的なボトルネックになることは考えにくいです。つまり、RX 6900 XTのVRAMは、それらの新世代機が登場するまで、PCゲーム市場においても十分な容量であり続ける可能性が高いのです。
限界が訪れるシナリオ
RX 6900 XTが「使えない」GPUになるシナリオは以下の通りです。
- パストレーシングが標準になる: 全てのゲームが『サイバーパンク2077 オーバードライブモード』のように、ラスタライズを廃止し、パストレーシング描画を標準とする未来が来た場合、RDNA 2のRTコアでは全く歯が立たず、起動すら困難になる可能性があります。(ただし、これが標準になるのはまだ先の話でしょう)
- FSR / AFMF では追いつけない性能要求: ゲーム側が要求する絶対的な処理能力が上がりすぎ、FSRを「パフォーマンス」モードで使っても60fpsを維持できなくなる。
- ハードウェア的な故障: 発売から5~7年が経過し、コンデンサやファン、メモリなど物理的な寿命が訪れる。
結論(将来性):
- WQHD (1440p) 環境: ラスタライズ(RTオフ)設定を前提とするならば、設定を最適化し、FSR/AFMFを駆使することで、**今後2~3年(2027~2028年頃)**までは十分「現役」として戦えるポテンシャルがあります。
- 4K (2160p) 環境: 既にFSRの活用が前提となっています。設定を「中」~「低」に落とすことを許容できるなら上記と同様に延命できますが、「画質」を求めるユーザーにとっては、2025年~2026年あたりが限界点となる可能性が高いです。
🛒 セクション5: 購入を検討している人へ(2025年版)
2025年に、あえてRX 6900 XTを(おそらく中古で)購入しようか迷っている方へ、具体的な比較とアドバイスを送ります。
中古購入時のチェックリスト
中古でRX 6900 XTを購入するのは「ハイリスク・ハイリターン」な選択です。以下の点に注意してください。
- マイニング個体を避ける: 2021年~2022年のマイニングブームで酷使された個体が市場に流れている可能性があります。可能な限り、個人のゲーマーから放出されたもの、または信頼できるリファービッシュ業者(保証付き)から購入してください。
- 動作確認: ベンチマーク(3DMark Time Spy, Fire Strike)を完走できるか、高負荷時に異音や極端な高温(90℃後半~100℃超え)にならないかを確認します。
- 外観: 基板のたわみ、ファンのホコリ、端子部分の錆びなどをチェックします。
- 価格: 価格が適正か、他のライバル機の中古価格と比較検討してください。
2025年におけるライバル比較 (中古市場)
仮にRX 6900 XTの中古価格が4万円~6万円程度だと仮定した場合のライバル比較です。
- vs RTX 3080 (10GB / 12GB)
- ラスタ性能: ほぼ同等か、RX 6900 XTがやや優位。
- RT性能: RTX 3080の勝利。
- VRAM: RX 6900 XT (16GB) の圧勝。
- 結論: 2025年以降、VRAM 10GBはWQHDでも厳しくなります。RT性能に強いこだわりがなければ、VRAM 16GBを持つRX 6900 XTの方が「将来性」は高いと言えます。
- vs RTX 3090 (24GB)
- ラスタ性能: ほぼ同等。
- RT性能: RTX 3090の勝利。
- VRAM: 24GBはオーバースペック気味ですが、当然RTX 3090の勝利。
- 結論: 中古価格が同等ならRTX 3090が魅力的ですが、通常はRX 6900 XTより高価です。コストパフォーマンスでRX 6900 XTが優位です。
- vs RTX 4070 (12GB)
- ラスタ性能: RX 6900 XTが優位な場面も多いが、ほぼ互角。
- RT性能: RTX 4070の圧勝。
- VRAM: RX 6900 XT (16GB) の勝利。
- AI / 新機能: DLSS 3 (FG) が使えるRTX 4070の圧勝。
- 電力効率: RTX 4070の圧勝。
- 結論: 非常に悩ましい比較です。RT性能、電力効率、DLSS 3を重視するならRTX 4070(ただし新品・中古価格はRX 6900 XTより高い)。ラスタ性能のコストパフォーマンスとVRAM 16GBの安心感を重視するならRX 6900 XT。
- vs RX 7800 XT (16GB)
- ラスタ性能: RX 6900 XTとほぼ同等か、わずかにRX 6900 XTが優位。
- RT性能: RX 7800 XT (RDNA 3) の勝利。
- VRAM: 16GBで同等。
- 電力効率・新機能: RX 7800 XTの勝利。
- 結論: RX 7800 XTは「現代版RX 6900 XT」とも言えるバランスの良いGPUです。新品で買える安心感、優れたRT性能と電力効率を考えると、RX 6900 XTの中古価格がRX 7800 XT(新品または中古)より大幅に安くない限り、RX 7800 XTを選ぶ方が賢明かもしれません。
購入アドバイス
「レイトレーシングは使わない。中古のリスクを理解した上で、WQHD環境のラスタライズ性能とVRAM 16GBを、可能な限り安価に手に入れたい」 という明確な目的があるならば、RX 6900 XTは2025年においても最高の選択肢の一つです。
🛠️ セクション6: 現在 RX 6900 XT を使っている人へ
最後に、現在RX 6900 XTを愛用しているオーナーの皆様へ、2025年以降の「付き合い方」とアップグレードの指針を提案します。
アップグレードの必要性はあるか?
結論から言えば、「あなたが現状に不満を感じていないなら、急いでアップグレードする必要は全くない」です。
RX 6900 XTは、2025年においてもWQHD環境では一線級の性能を持っています。
アップグレードを推奨しないケース
- WQHD (1440p) モニターで、RTオフ、高設定で快適にプレイできている。
- FSRやAFMFの活用に抵抗がない。
- VRAM 16GBの恩恵(Mod導入など)を享受している。
アップグレードを検討すべきケース
- RTX 40/50シリーズ or RX 7000/8000シリーズへ
- 理由: 4Kで最高設定・高フレームレート(100fps+)を維持したい。
- 理由: 『サイバーパンク2077』のパストレーシングなど、最新のレイトレーシング技術を快適に体験したい。
- 理由: DLSS 3.5 (Ray Reconstruction) のようなAIによる画質向上技術に魅力を感じる。
- VRAM不足(?)
- 理由: VRAM 16GBで不足するケースは当面考えにくいですが、もし万が一、特殊なクリエイティブ作業などで24GB以上が必要になった場合。
愛機を「延命」させるための活用術
まだまだ戦えるRX 6900 XT。そのポテンシャルを最大限に引き出す方法を伝授します。
- FSR と AFMF (Fluid Motion Frames) をマスターする これが最も強力な延命術です。
- FSR: ゲーム側が対応している必要があります。画質と性能のバランスが取れた「品質」または「バランス」モードを積極的に活用しましょう。
- AFMF: AMD Software (ドライバ) 側で有効にできるフレーム生成技術。ゲームがFSRに非対応でもフレームレートを向上できます。ただし、動きの激しいシーンでの違和感(アーティファクト)や入力遅延の増加には注意が必要です。
- アンダーボルト(低電圧化)で効率アップ RX 6900 XT (RDNA 2) は、アンダーボルト耐性が高い個体が多いことで知られています。
- AMD Softwareの「チューニング」機能で、電圧を少し下げる(アンダーボルト)ことで、消費電力と発熱を抑えつつ、性能を維持、あるいはクロックが安定して逆に性能が向上することもあります。
- 夏場の熱ダレ対策や、ファンの騒音低減にも効果絶大です。
- RSR (Radeon Super Resolution) の活用 FSRがゲーム側対応なのに対し、RSRはドライバレベルで動作するアップスケーリング技術です。
- 例えば、4Kモニターでゲーム内解像度を1440pに設定し、RSRをオンにすると、1440pの負荷で4Kに近い(シャープネス処理された)映像を得られます。FSR非対応の古いゲームなどで有効です。
- CPUボトルネックの確認 特に1080pや1440p高フレームレート環境では、CPUがRX 6900 XTの足を引っ張っている可能性があります。Ryzen 5 3600 や Intel Core i5 10世代などを使っている場合、Ryzen 7 5800X3D や最新のCPUに交換することで、GPU性能を使い切れるようになり、フレームレートが劇的に改善する場合があります。
- 物理メンテナンス 発売から5年。一度も掃除していない場合、エアフローが悪化し性能が低下している可能性があります。
- エアダスターでのホコリ除去。
- (自己責任・上級者向け)サーマルグリスの塗り直し、サーマルパッドの交換。これにより、冷却性能が新品同様に蘇り、高負荷時のクロック低下(サーマルスロットリング)を防げる場合があります。
🏁 結論: RX 6900 XTは2025年以降も「名機」たりえるか?
答えは「イエス」です。ただし、条件付きのイエスです。
Radeon RX 6900 XTは、2025年においても**「WQHDラスタライズ番長」**として、非常に高いパフォーマンスを維持しています。
その最大の理由は、5年前に搭載された16GBという先見の明のあるVRAM容量です。VRAM不足が深刻化する現代において、この「貯金」がRX 6900 XTの寿命を劇的に延ばしています。
弱点は明確です。それは「レイトレーシング」と「AI機能」の不足。 この2点を重視するユーザーにとっては、RX 6900 XTはすでに「過去のGPU」です。
しかし、「RTはオフで構わない」「FSRやAFMFを活用する」「なによりVRAMは多ければ多いほど良い」と考える多くの合理的なPCゲーマーにとって、RX 6900 XTは2025年以降も輝き続ける「名機」であり続けます。
中古での購入は、その圧倒的なコストパフォーマンスと引き換えに、個体の状態を見極めるリスクを伴います。 現在のオーナーは、FSR/AFMFと適切なメンテナンスを駆使することで、次世代機が手頃な価格になるまでの「頼れる相棒」として、まだ数年は戦い抜くことができるでしょう。
RX 6900 XTは、RDNA 2世代のハイエンドGPUが持つ「底力」を、2025年の私たちに雄弁に語りかけてくれているのです。

