- 【2025年版】Radeon RX 460は「まだ使える」? 性能と限界を徹底レビュー!中古購入の是非も考察
【2025年版】Radeon RX 460は「まだ使える」? 性能と限界を徹底レビュー!中古購入の是非も考察
2016年夏、AMDから「Polaris(ポラリス)」アーキテクチャを採用したエントリークラスGPUとして「Radeon RX 460」が登場しました。補助電源不要モデルも多く、低価格ながら1080pでのeSportsゲームプレイを視野に入れた「コスパの星」として、多くのBTOパソコンやライトゲーマーに採用された名機です。
あれから約9年。技術の進歩は残酷なまでに速く、ゲームやソフトウェアが要求するスペックは天文学的に上昇しました。
2025年の今、私たちはふと疑問に思います。 「あのRX 460は、果たしてまだ現役として使えるのだろうか?」
本記事では、2025年という視点からRadeon RX 460の「現在の実力」を徹底的に再評価します。最新ゲームは動くのか?動画編集は?そして、中古での購入は「アリ」なのか、それとも「ナシ」なのか。
現在RX 460を使っている方、そして(驚くべきことに)これから中古で手に入れようか迷っている方へ。この記事があなたの疑問を解決する一助となれば幸いです。
1. 2025年に再確認する「RX 460」の基本スペック
まず、私たちが今、どのレベルのハードウェアについて話しているのかを再確認しましょう。
- アーキテクチャ: GCN 4.0 (Polaris 11)
- 製造プロセス: 14nm FinFET
- ストリームプロセッサ: 896基 (※ロック解除版は1024基)
- VRAM (ビデオメモリ): 2GB または 4GB (GDDR5)
- メモリバス幅: 128-bit
- TDP (消費電力): 75W未満 (多くのモデルで補助電源不要)
- リリース日: 2016年8月
注目すべきは、リリースから既に約9年が経過しているという事実、そしてTDP 75W未満という省電力設計です。しかし、2025年の視点で見ると、最も深刻な足枷となっているのが「VRAM(ビデオメモリ)」です。これについては後ほど詳しく解説します。
2. 2025年におけるRX 460の「絶対的性能」
では、その性能は2025年の基準でどの位置にあるのでしょうか?
一言で言えば、「最新のハイエンドCPUに内蔵されたグラフィックス(iGPU)と同等、あるいはそれ以下」です。
例えば、AMDのRyzen 7000/8000シリーズに搭載されている「RDNA 3」ベースのiGPU (Radeon 780Mなど) は、特定の条件下でRX 460の4GBモデルを凌駕する性能を発揮します。IntelのCore Ultraに搭載された「Arc」 iGPUも同様に、非常に高い性能を持っています。
つまり、RX 460は2025年において「かろうじてローエンドの専用GPU」という立ち位置であり、もはや「ゲーミングGPU」と呼ぶのは非常に厳しいレベルにまで相対的地位を落としています。
VRAM 2GBモデルと4GBモデルの「決定的な差」
RX 460には2GBモデルと4GBモデルが存在しますが、2025年においてこの差は「天国と地獄」ほどの違いがあります。
- 2GBモデル: 正直なところ、ゲーム用途としてはほぼ機能不全です。現代のゲームは、最低設定の1080pですら起動時に4GB以上のVRAMを要求するものが珍しくありません。OSやバックグラウンドタスクがVRAMを消費することを考えると、2GBでは「ゲームが起動しない」「起動してもテクスチャが崩壊する」「数分でクラッシュする」といった事態が頻発します。
- 4GBモデル: こちらは「限定的ながら、まだ使い道が残されている」モデルです。後述するeSportsタイトルや軽量なインディーゲーム、古いゲームであれば、設定を大きく妥協することで1080pでのプレイが可能です。
もし、今からRX 460に触れる機会があるならば、必ず4GBモデルであることを確認してください。2GBモデルは、もはや「映像出力アダプタ」以上の価値を見出すのは困難です。
3. 【用途別】2025年、RX 460で「できること」「できないこと」
では、具体的な利用シーンごとに、RX 460(4GBモデルを前提とします)の実力を評価していきましょう。
❌ (A) 最新AAAタイトルのプレイ
結論:絶望的です。
『サイバーパンク2077』『Starfield』『Alan Wake 2』『ドラゴンズドグマ2』といった、ここ数年(2023年~2025年)にリリースされた、いわゆる「重い」AAAタイトル。
これらをRX 460でプレイしようと考えるのは無謀です。
- 理由1: VRAM不足: 4GBでは全く足りません。最低設定ですら6GB~8GBを要求されるのが普通です。
- 理由2: 演算性能不足: 複雑なジオメトリ、高度なライティング処理に対応できません。
- 理由3: 機能不足: メッシュシェーダーや最新のレイトレーシングといった、DirectX 12 Ultimate世代の描画技術にハードウェアレベルで対応していません。
仮に起動できたとしても、解像度を720pに落とし、すべての設定を「最低」にし、FSR(後述)を「ウルトラパフォーマンス」に設定しても、安定した30fpsを維持することすら困難でしょう。紙芝居のようなカクカクした画面で、ゲーム体験とは程遠いものになります。
⭕ (B) 軽量eSports・インディーゲーム
結論:これがRX 460の「主戦場」です。
- Valorant (ヴァロラント): 1080p、低~中設定で100fps以上を狙えます。快適にプレイ可能です。
- League of Legends (LoL): 1080p、最高設定でも全く問題なく動作します。
- Counter-Strike 2 (CS2): 1080p、最低設定であれば平均60fps前後でのプレイが可能です。ただし、マップや状況によって落ち込む場面もあります。
- Apex Legends: 1080p、すべて「低」設定、または720pに解像度を落とすことで、平均60fpsの「戦える」ラインを維持できる可能性があります。
- Fortnite (フォートナイト): 「パフォーマンスモード」(DirectX 11)を選択し、低設定にすれば1080pで60fpsを維持することは十分可能です。
- インディーゲーム: 『Stardew Valley』『Hollow Knight』『HADES』『Palworld(パルワールド)※』など、グラフィックス負荷が比較的低い、あるいは最適化が進んでいるゲームであれば、多くが1080pで快適に動作します。
- ※Palworldは設定次第では重くなりますが、最低設定近辺なら4GBモデルでなんとか動かせる範囲です。
🔺 (C) やや古めのAAAタイトル (2018年頃まで)
『GTA V』『The Elder Scrolls V: Skyrim』『Fallout 4』『DARK SOULS III』『NieR:Automata』など、2010年代中盤から後半にかけての名作群。
これらは1080p、中~低設定に妥協することで、30fps~60fpsでのプレイが十分に可能です。RX 460は、こうした「少し前の時代の名作を遊ぶためのマシン」としては、まだ価値があります。
⭕ (D) 日常使い・動画鑑賞
結論:全く問題ありません。むしろ快適です。
- Webブラウジング: 大量のタブを開いても、GPUがボトルネックになることはありません。
- Officeソフト (Word, Excel, PowerPoint): 快適そのものです。
- 動画鑑賞: YouTube、Netflix、Amazon Prime Videoなどのストリーミングサービスを4K解像度で視聴する際も、RX 460に搭載された動画再生支援機能(ハードウェアデコーダ)が優秀に働くため、CPUに負荷をかけずに滑らかに再生できます。これは、古いCPU(内蔵グラフィックスが貧弱なCore i-series第7世代以前など)と組み合わせる際に大きなメリットとなります。
- マルチモニター: DisplayPortやHDMI端子を備えており、2~3画面のマルチモニター環境を構築するのも容易です。
🔺 (E) クリエイティブ作業 (動画編集・画像生成)
結論:限定的、または非推奨です。
- 動画編集:
- ⭕ (可能): DaVinci ResolveやPremiere Proでの「1080p解像度でのカット編集」程度であれば可能です。ハードウェアエンコード(VCE)もH.264なら対応しています。
- ❌ (困難): 4K解像度の編集、重いエフェクトやカラーグレーディング、AI機能の活用は絶望的に遅くなります。また、最新のAV1エンコードには対応していません。
- AI画像生成 (Stable Diffusionなど):
- ❌ (非推奨): 動作はしますが、VRAM 4GBは致命的に少なく、生成速度も現代のGPUとは比較にならないほど遅いです。「お試し」以上は期待できません。
- 3Dモデリング (Blenderなど):
- 簡単なモデリングは可能ですが、EeveeでのリアルタイムプレビューやCyclesでのレンダリングは非常に時間がかかります。
4. 2025年に見るRX 460のメリットとデメリット
RX 460の現状を、改めて「良い点」と「悪い点」に整理します。
🟢 メリット (Pros)
- 圧倒的な中古価格の安さ 2025年現在、中古市場(フリマアプリやジャンクコーナー)では、数千円(おそらく2,000円~4,000円程度)で取引されています。「とにかく安く映像を映したい」というニーズには最強の選択肢です。
- 低消費電力(補助電源不要) TDP 75W未満のモデルが多く、PCIeスロットからの給電のみで動作します。これは、古いメーカー製PC(スリムタワーなど)や、電源容量(PSU)が小さいPCをアップグレードする際に、電源交換なしで搭載できる最大のメリットです。
- iGPU非搭載CPUの「映像出力」として優秀 Intelの「F」付きモデルや、AMDの旧世代Ryzenなど、iGPU(内蔵グラフィックス)を持たないCPUと組み合わせる際、「とりあえず画面を映す」ための安価なアダプタとして非常に優秀です。しかも、前述の通り4K動画再生支援もこなせます。
- 旧世代iGPUからの明確なアップグレード Intel UHD Graphics 630 (第8~10世代Core) や、それ以前の貧弱なiGPUと比較すれば、RX 460は明確に高い3D性能を持っています。これらのPCの延命措置としては有効です。
🔴 デメリット (Cons)
- 絶対的な性能不足 2025年の基準では、あらゆる面で性能が不足しています。
- 致命的なVRAM容量(特に2GBモデル) 現代のソフトウェアやゲームの多くは、4GB VRAMですら「最低ライン」であり、2GBは「動作対象外」です。
- ドライバサポートの終了(レガシー化) AMDによる最新ゲームへの最適化ドライバは、とうの昔に提供が終了しています。現在はセキュリティ修正や基本的なバグフィックスのみが提供される「レガシーサポート」となっている可能性が非常に高いです。これにより、最新ゲームで不具合が発生しても改善されません。
- 中古品としての「寿命」のリスク リリースから約9年が経過しています。中古品はいつ故障してもおかしくありません。特に「ファン」の軸受が摩耗して異音が発生したり、停止したりするリスクは非常に高いです。基板上のコンデンサの劣化も懸念されます。
- 最新技術・APIへの非対応 DirectX 12 Ultimateの主要機能(メッシュシェーダー、VRSなど)や、AV1エンコードなど、現代のスタンダードとなった技術には対応していません。
5. 将来性と限界:RX 460は「いつまで」使えるのか?
RX 460の「将来性」は、既にゼロです。 私たちは今、「限界」の先で、いかにして延命させるかを語っている段階にいます。
RX 460の限界は、主に2つの「壁」によって定義されます。
- VRAMの壁: 今後、Webブラウザ(Chromeなど)ですら、より多くのVRAMを消費するようになるでしょう。OSのアップデート(Windows 12?)も要求スペックを上げる可能性があります。ゲームにおいては、4GB VRAMでは起動すら許されないタイトルが標準となっていきます。
- API/機能の壁: ゲーム開発者が、DirectX 12 UltimateやVulkanの特定機能を「必須」として要求し始めた瞬間に、RX 460はそのゲームを起動できなくなります。
結論として、RX 460は「2025年現在、限定的な用途(軽めのeSports、古いゲーム、動画鑑賞)においてのみ機能する、余生を送っているGPU」と言えます。
6. 【購入検討者へ】2025年に「あえて」RX 460を買うべき人
信じられないかもしれませんが、2025年でもRX 460(4GBモデル)の購入が合理的な選択となるケースが存在します。
買うべき人
- iGPU非搭載PCの「映像出力用」を探している人: 「とにかく安く、マルチモニターで画面を映したい。4K動画も見たい」という人。数千円でこれが実現できるなら、コスパは最高です。
- 古いメーカー製PC(省電力)を延命させたい人: 補助電源が不要で、ロープロファイル対応モデルも存在したため、「電源交換なし」で古いPCにグラフィックス機能を追加・強化したい場合に最適です。
- 「レトロゲーム・エミュレータ専用機」を作りたい人: PS2、Wii、PSP世代のエミュレータや、2010年代のPCゲームを遊ぶための「サブ機」用GPUとしては、価格と性能のバランスが(中古なら)取れています。
- 「Valorant専用機」を予算1万円で組みたい人: 中古のCPU、マザー、メモリ、そしてRX 460を組み合わせれば、驚くほどの低予算で特定ゲーム専用機が作れるかもしれません。
買ってはいけない人
- 「原神」「Apex」「Fortnite」を快適に遊びたい人: これらはRX 460でも「動く」ゲームですが、「快適」ではありません。予算をあと1万円~1万5千円上乗せして、中古の「RX 6500 XT」や「GTX 1660 Super」、あるいは「RX 6600」を探すべきです。
- 最新のAAAゲームを「お試し」でもいいから触りたい人: 起動しない可能性が高いため、お金を無駄にするだけです。最低でもVRAM 8GB搭載のGPU(中古のRX 5700 XTやRTX 2060 Superなど)が必要です。
- 最新のCPU(iGPU高性能)を持っている人: Ryzen 7 8700Gなどを持っている場合、その内蔵GPUはRX 460より高性能です。RX 460を追加する意味は全くありません。
7. 【現役ユーザーへ】愛機RX 460を2025年も使い倒すために
今もなお、RX 460をメインマシンで使い続けている「戦友」の皆さん。もし動作に不満がないのであれば、それはあなたの用途とRX 460の性能がマッチしている証拠です。壊れるまで使い続けるのは、最も賢い選択です。
しかし、「最近、ちょっと重くなってきたな…」と感じているなら、いくつかの「延命策」を試してみましょう。
延命策1:FSR (FidelityFX Super Resolution) を活用する
AMDの超解像技術「FSR」は、RX 460のような古いGPUでも動作します。これは、ゲームを低い解像度(例: 720p)でレンダリングし、それをAI(ではないアルゴリズム)で高品質に1080pへ引き伸ばす技術です。
- 使い方: ゲームのグラフィック設定に「FSR」(またはFSR 1.0 / 2.0)の項目があれば、それを「オン」にします。
- 設定: 「クオリティ」よりも「パフォーマンス」や「ウルトラパフォーマンス」を選びます。画質は犠牲になりますが(ぼやける)、フレームレートは劇的に向上します。
- 効果: 30fpsしか出なかったゲームが、45~50fpsで動作するようになる可能性があります。RX 460にとって最強の「ドーピング」です。
延命策2:徹底的な設定の最適化
- 解像度を下げる: 1080p (1920×1080) が重ければ、1600×900、最終手段として1280×720まで落とします。
- 設定を「最低」に: テクスチャ、シャドウ、アンチエイリアシングなど、すべてを「オフ」または「最低」にします。
- Radeon Softwareの活用: AMDのドライバソフトウェア (Adrenalin) で、「Radeon Chill」(フレームレートを制限して安定化)や「Image Sharpening」(低解像度時のボケ感を軽減)を活用します。
延命策3:物理メンテナンス
9年も経過していれば、内部はホコリまみれで、サーマルグリスはカピカピに乾いています。 思い切って(自己責任で)分解清掃し、GPUグリスを塗り直すだけで、冷却性能が劇的に改善し、サーマルスロットリング(熱による性能低下)を防げる場合があります。ファンの異音がひどい場合は、ファン自体を交換する(または結束バンドで別のファンを固定する)といった荒業もあります。
買い替えのタイミングと「次の」オススメ
以下の症状が出たら、それが「お別れ」の時です。
- 画面にノイズ(アーティファクト)が走り始めた。
- 突然画面が真っ暗になったり、ドライバがクラッシュしたりする頻度が増えた。
- どうしても遊びたい新作ゲームが、最低設定でも起動しなくなった。
RX 460(特に補助電源不要モデル)からの乗り換え先として、2025年時点でのオススメ(中古・新品含む)は以下の通りです。
- 【補助電源不要】のアップグレード:
- GeForce GTX 1650 (GDDR6版): RX 460より大幅に高性能で、補助電源不要。
- Radeon RX 6400: 同様に補助電源不要で、RX 460の2倍以上の性能を持ちます。
- 【補助電源アリ】の劇的アップグレード(コスパ重視):
- Radeon RX 6600 (中古/新品): RX 460の5倍~6倍の性能を持ちます。1080pゲームの「王」であり、コストパフォーマンスが異常です。
- GeForce RTX 3050 / RTX 4060: DLSS(FSRのNVIDIA版)が使え、こちらも劇的な性能向上を約束します。
結論:2025年のRX 460は「目的次第で輝く、玄人向けの骨董品」
Radeon RX 460は、2025年において「最新ゲームを遊ぶためのGPU」ではありません。その役割は9年前に終えています。
しかし、「映像出力アダプタ」として見れば、4K動画再生支援とマルチモニターに対応した、非常に安価で優秀な選択肢です。 「軽量eSports専用機」として見れば、ValorantやLoLをプレイするには今なお十分な性能を持っています。 そして、「補助電源不要」という特性は、古いPCを延命させる最後の切り札として、唯一無二の価値を持ち続けています。
2025年にRX 460と向き合うということは、最新テクノロジーを追いかけることの対極にある、**「今あるものをどう活かすか」「何を諦め、何を得るか」**という、PC自作の原点とも言える楽しみ方を再発見することなのかもしれません。
もしあなたのPCケースでRX 460がまだ静かに回っているなら、その「老兵」が動かなくなる最後の瞬間まで、どうか大切に使ってあげてください。

