はじめに
2025年現在、グラフィックカード市場はRTX4000シリーズの後半世代やRTX5000シリーズへの移行期に差し掛かっています。最新GPUは高性能で魅力的ですが、その一方で中古市場や旧世代モデルも依然として注目を集めています。その中でも、NVIDIAのRTX2070は「ちょうど中間的な立ち位置」を占めており、性能・価格のバランスをどう捉えるかが重要になってきます。
この記事では、RTX2070の基本性能から2025年における用途、限界、今買う意味、メリットとデメリットを徹底的に解説し、ゲーミングPC購入を検討している人に役立つ情報をまとめていきます。
RTX2070の基本概要とスペック
RTX2070は2018年にNVIDIAの「Turing」アーキテクチャを採用した20シリーズの中核モデルとして登場しました。RTXレイトレーシングとDLSS(Deep Learning Super Sampling)を初めて実用レベルで搭載したGPUのひとつです。
主なスペック
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CUDAコア数:2304
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ベースクロック:1410 MHz
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ブーストクロック:1620 MHz(Founders Edition)
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メモリ:8GB GDDR6
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メモリバス幅:256bit
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TDP:175W
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発売時価格:約60,000円前後(国内市場)
当時としてはハイエンド寄りのモデルであり、フルHDはもちろん、WQHD(2560×1440)環境でも十分にゲームを快適に動かせる性能を持っていました。
2025年における性能評価
発売からすでに7年が経過したRTX2070ですが、実際のところ2025年でもまだ現役で使えるのでしょうか?
ゲーム性能(ベンチマークの目安)
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フルHD(1080p):ほとんどのタイトルで60fps以上を維持可能。最新AAAタイトルでも中設定で快適。
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WQHD(1440p):設定を調整すればまだ十分遊べるが、最新の重量級タイトルでは画質を落とす必要あり。
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4K解像度:厳しい。軽量タイトルや古めの作品なら可。AAA級最新作は基本的に30fps前後。
2025年のトレンドとして、最新のAAAタイトルは非常に重く、レイトレーシングを多用するケースが増えています。そのため、RTX2070はフルHDゲーミングに特化するのが現実的な選択肢となります。
クリエイティブ用途
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動画編集(Premiere Proなど):4K編集もある程度対応可能。ただしエフェクトやレンダリング処理は最新GPUに比べて遅い。
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3DCGやCAD:中規模プロジェクトなら可能だが、プロ用途では性能不足が顕著。
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AI・ディープラーニング:CUDA対応でTensorコアも搭載しているが、メモリ8GBがボトルネック。学習用途には非現実的。
RTX2070の限界と注意点
RTX2070は今でも一定の実力を持ちますが、2025年においては次のような限界が目立ってきます。
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VRAM不足(8GB)
最新タイトルは12GB以上を推奨するケースも増えており、テクスチャ設定を上げるとすぐに足りなくなります。 -
レイトレーシング性能の限界
RTXの名を冠しているものの、初期世代のRTコアは最新世代に比べて圧倒的に非力。リアルタイムレイトレーシングを快適に楽しむのは難しいです。 -
DLSSの進化に取り残されている
DLSS 3.5はRTX4000シリーズ以上に最適化されており、2070はDLSS 2までしか正式対応していません。AI補完による大幅な性能向上は望めません。 -
寿命の懸念
発売から7年が経過しており、中古品が主流。ファンや電源周りの劣化リスクが高く、長期運用は不安が残ります。
今RTX2070を購入する意味
では、2025年にRTX2070をあえて選ぶ理由はあるのでしょうか?メリットとデメリットを整理します。
メリット
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中古市場で比較的安価(2~3万円台で入手可能)
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フルHDゲーミングならまだ現役レベル
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RTX・DLSS対応で最低限の最新機能が使える
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電力効率は悪くない(175W程度)
デメリット
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VRAM 8GBの時点で将来性が低い
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最新ゲームでは設定を落とさないと厳しい
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DLSSの進化に対応できない
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中古品中心で故障リスクがある
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価格性能比ではRTX3060や4060の方が優秀
つまり、「格安でそこそこ動けばいい」という用途ならメリットがありますが、「最新ゲームを快適に」「長期的に使いたい」という人にはデメリットが大きいです。
他の選択肢との比較
RTX2070を検討する際には、同価格帯で入手できる他のGPUとの比較が重要です。
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RTX3060(12GB)
性能はRTX2070と同等か少し上。VRAMが12GBあるため将来性が高い。中古で同価格帯。 -
RTX4060
最新世代でDLSS 3対応。VRAMは8GBと同じだが効率が高く、長期利用を考えるならこちらが有利。 -
中古RTX3070
性能はRTX2070を大きく上回る。WQHDも現実的。ただしVRAM 8GBの制約は残る。
この比較を踏まえると、2025年にあえてRTX2070を買う意味は「安くフルHDで遊べればいい」という非常に限定的な条件に絞られます。
ゲーミングPC購入を検討している人へのアドバイス
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最新ゲームを高画質・高fpsで楽しみたい人 → RTX4070以上を推奨
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予算を抑えてフルHDゲーミングができれば十分な人 → RTX3060(12GB)や中古RTX2070も視野に
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中古に抵抗がなく、とにかく安く済ませたい人 → RTX2070は選択肢のひとつ
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長期利用を考えている人 → RTX4060以上をおすすめ
特にこれから初めてゲーミングPCを買う人には、「中古のRTX2070搭載PCを安く買う」のは一時的にはお得に見えますが、数年後すぐに買い替えが必要になる可能性が高いことを理解しておくべきです。
まとめ
RTX2070は2025年においてもフルHDゲーミングではまだ現役クラスの性能を持っています。しかし、VRAM不足やDLSS対応の限界、最新ゲームへの対応力不足といった弱点があり、長期利用や高解像度ゲーミングには向きません。
今からあえてRTX2070を購入する意味は「低予算で中古を狙う」か「フルHD用途限定」の場合に限られます。ゲーミングPCをこれから購入する人には、RTX3060(12GB)やRTX4060以上を選んだ方が、結果的に長く安心して使えるでしょう。