はじめに
近年、GIGAスクール構想の推進やリモート学習の普及により、小中学生でもパソコンを使った学習が当たり前になりつつあります。そこで多くの保護者が気になるのが「子どもにどの程度のPCを与えればいいのか?」という点です。
この記事では、小中学生が使う学習用PCにどれくらいの予算を見積もるべきか、またどの程度の性能があれば十分なのかを、用途別に分かりやすく解説します。
小中学生がPCを使う主な用途
まずは、子どもがPCを使う具体的な目的を理解することが大切です。用途によって必要なスペックも異なるからです。
1. 学校のオンライン授業・学習アプリの利用
GIGAスクール端末やクラウド型学習(Google Classroom、ロイロノート、Qubenaなど)が一般的になっています。これらは比較的軽量なアプリやブラウザベースで動作するサービスが中心。
必要性能:低~中程度
2. タイピング練習やレポート作成
小学校高学年~中学生になると、タイピングや簡単な文書作成が必要になります。Word、PowerPoint、Googleドキュメントなどを利用する機会も増えます。
必要性能:中程度
3. プログラミング学習(Scratch、Pythonなど)
プログラミング教育の必修化により、ScratchやViscuit、さらに進んだ子はPythonなどに触れることもあります。特にPythonなど本格的な言語を学ぶなら、ある程度のメモリやCPUが必要。
必要性能:中~高程度
4. 動画閲覧・編集、ゲーム(マイクラなど)
学習用途以外にも、YouTubeでの学習動画や、教育版マインクラフトなどを楽しむ子もいます。このレベルになるとグラフィック処理性能も必要になります。
必要性能:中~高程度(用途次第)
必要なPCスペックの目安
以下に、用途別に必要な性能を表にまとめました:
用途 | 推奨CPU | メモリ | ストレージ | OS | 価格帯目安 |
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ブラウザ学習・動画視聴 | Celeron, Pentium, Ryzen 3 | 4GB~ | 64GB~128GB(eMMCでも可) | Windows 10/11, ChromeOS | 3万~5万円 |
レポート作成・プログラミング入門 | Core i3, Ryzen 3~5 | 8GB | SSD 128GB~ | Windows 10/11, macOS | 5万~7万円 |
マイクラや動画編集も含む | Core i5以上, Ryzen 5以上 | 8GB~16GB | SSD 256GB~ | Windows 11, macOS | 8万~12万円 |
ポイント1:メモリは8GBあると安心
4GBでも動作はしますが、複数のタブを開いたり、アプリを同時起動するとすぐに重くなります。8GBあればストレスなく使えるため、今後数年使うことを考えても無駄にはなりません。
ポイント2:ストレージはSSD推奨
eMMCやHDDは読み書き速度が遅く、起動や動作がもたつく原因になります。可能であればSSD(特にNVMe SSD)を搭載したモデルを選びましょう。
予算の考え方
1. 3万円前後:最低限のエントリーモデル
中古または新品のChromebookや格安Windows PC(Celeron + 4GB RAM)などが選択肢に。ウェブ学習やタイピング練習などの用途に限れば対応可能。ただし動作はややもっさりしている場合が多いです。
2. 5万~7万円:標準的な学習用PC
新品でメモリ8GB、SSD搭載、CPUはCore i3以上のモデルも選べます。Googleドライブとの連携や、動画授業もスムーズ。将来的なプログラミング学習や中学校での活用も十分対応できます。
3. 8万円以上:長期間使える中~上級モデル
動画編集や3D系ソフト(教育版マイクラ、Tinkercadなど)も扱いたい場合はこちら。中学生~高校生まで長く使いたいという家庭に向いています。
中古PCという選択肢
コストを抑えたい場合、中古の法人向けノートPC(例えばレノボやHPのビジネスモデル)を選ぶのも一つの手です。中古でもCore i5・メモリ8GB・SSD搭載モデルが3~4万円で手に入ることもあり、性能的には新品の格安モデルよりも上です。
ただし、バッテリーの寿命やサポートの有無には注意が必要です。信頼できる中古PCショップから購入するのが安心です。
OSの選び方:Windows・ChromeOS・macOS
Windows
対応ソフトが豊富で、学校でも導入事例が多い。将来の拡張性や互換性を考えると万能。
ChromeOS(Chromebook)
クラウド学習に特化。動作が軽く、操作もシンプルで小学生にも扱いやすい。Googleアカウントと教育サービスとの相性が抜群。
macOS
直感的なUIと教育ソフトが充実。ただし価格はやや高め。Apple製品との連携を重視する家庭には◎
おすすめの購入方法
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家電量販店の学割キャンペーン
春や新学期前に行われるセールを利用すると、Officeソフト付きモデルや保証付きでお得に購入できます。 -
オンラインストア(Amazon、楽天、メーカー直販)
口コミを比較でき、価格帯の幅も広い。中古・再生品も視野に入る。 -
学校指定モデルを確認する
学校によっては推奨スペックや指定業者がある場合があります。事前に確認しましょう。
保護者が気をつけたいポイント
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フィルタリングソフトの導入:インターネット上の有害情報から子どもを守るために必須です。
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ブルーライト対策:ブルーライトカットの画面フィルムや眼鏡の使用を検討。
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姿勢と使用時間の管理:長時間の使用は身体に負担をかけるため、時間制限や休憩の習慣を。
失敗しない学習用PC選びのためには、以下の5つの判断基準を押さえておくと安心です。これを基に選べば、スペック不足や用途ミスマッチなどの失敗を防げます。
1. 使用目的を明確にする
まず「何に使うか」をはっきりさせることが最重要です。
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オンライン授業、学習アプリ → 軽めのスペックでOK
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プログラミングや文書作成 → 中程度の性能が必要
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動画編集やマイクラ → グラフィック性能も必要
▶ 目的に合わないスペック=無駄な出費 or 買い直しの原因になります。
2. メモリ(RAM)は最低8GB
PCの快適さに大きく関わるのがメモリです。
4GBではブラウザのタブを複数開いただけで動作が重くなる可能性が高いです。
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おすすめ:8GB以上
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長く使いたいなら16GBでも可(中学生以上で用途が広がる場合)
3. ストレージはSSDタイプ、128GB以上
HDDやeMMCは読み書きが遅く、起動や操作にストレスが出ます。
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おすすめ:SSD(特にNVMe)
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容量:128GB~256GB程度で十分(Googleドライブなどのクラウド併用も◎)
4. 信頼できるメーカー・保証ありの販売店を選ぶ
特に子どもが使う場合、故障リスクやサポート体制が重要です。
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国内サポートがしっかりしているメーカー:NEC、富士通、Lenovo(法人モデル)、HPなど
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保証期間が最低1年ついているかチェック
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中古の場合は、再整備済(リファービッシュ)を選ぶと安心
5. 将来性と拡張性を考える
今の用途だけでなく「2~3年後も使えるか」を考慮すると無駄が減ります。
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USB-C端子やHDMIポートがあると拡張性◎
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OSが最新(Windows 11対応など)であることを確認
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Chromebookの場合、自動更新サポート(AUE)期限も要チェック
まとめ
小中学生にとっての学習用PCは、今や「文房具」と同じくらい重要なツールです。ただし、過剰なスペックは不要で、使用目的に合ったバランスの良いスペック・価格帯のPCを選ぶことが大切です。
5万円前後でメモリ8GB・SSD搭載のモデルを選べば、学習には十分対応できます。子どもの成長や興味の変化を見ながら、必要に応じて買い替え・アップグレードしていくことも検討しましょう。